朝食の後、片付けを済ませてからリビングに戻ると、身支度を整えた廉がソファーに座っていた。


「澪」


彼に目配せをされたあたしは、タバコを手渡して火を点ける。


「ん、サンキュ」


廉は満足げに言って、新聞を読み始めた。


あたしは、タバコを吸っている彼の横顔が好き。


たった三つしか離れていないのに、廉がすごく大人に見えてドキドキするんだ。


幸せな気持ちを抱えながら、彼の横顔を眺めていた。


「いつも見てるな……」


不意に言った廉が、タバコの火を消した。


「横顔が好きなんだもん!」


あたしが笑顔で言うと、彼は呆れたように笑って立ち上がった。


毎朝同じ状況だと、廉もさすがに呆れるのかもしれない。


そんな事を考えながら廉の後を追って、いつものように玄関で行ってらっしゃいのキスをしてから、彼を送り出した。