言葉を失ったあたしは、綾と顔を見合わせた。


「廉さんが……Shiki……！？」


あたしと同じように驚きを隠せないらしい彼女も、まだ声が震えている。


「今回は今までとは全く違う作品ですが、何をテーマに撮られたんですか？」


司会者にマイクを向けられた廉は、笑顔を見せた。


「“幸せのカタチ”です」


「幸せのカタチ……？」


「えぇ、俺がずっと探し求めていた物です。今回の作品は、それを撮りました」


廉は、笑顔のまま答えていた。


廉がShikiだったなんて……


写真に詳しくないあたしでも、すごい人だって言うのはわかる。


何だか、遠い人になっちゃったんだね……


あたしは寂しくて、舞台から視線を逸らした。


「それではご覧頂きましょう！最優秀賞を受賞されたShikiさんの作品で、タイトルは《澪　〜レンズ越しの君へ〜》です！」