「それより、今日Shikiって人が来るんですよね?あたし、ファンなんですけど、サイン貰えませんか?」


気まずい雰囲気を、綾が破ってくれた。


「どうだろうな……。彼は、今日の最優秀賞の受賞者だからな」


「やっぱりすごい……」


田島さんの言葉に、綾は感心していた。


「あぁ……。うちが今度やる企画にカメラマンが必要でな。この間やっと契約出来たんだ」


「Shikiって、そんなにすごい人なんですか……?」


あたしが訊くと、綾と田島さんが口々に熱く語り出した。


「何言ってんの!彼は色んな賞を総ナメしてる人なんだよ!」


「それに公の場に出て来るのは初めてなんだ!」


「そ、そう……なの……」


二人に圧倒されたあたしは、それだけしか言えなかった。


「そろそろ時間だ」


田島さんに促されて、あたし達は授賞式が行われる会場に入った。