「じゃあ、俺は先に行くから。気をつけて来いよ」


「うん、また後でね」


家に着いてすぐに会場に向かうと言った廉を玄関まで見送ると、彼はあたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


「あのさ……。み……」


「み……?」


言葉に詰まった廉を見ながら、小首を傾げる。


「道、わからなかったら電話しろよ」


「うん!でもわかるから大丈夫だよ♪」


笑顔で返事をしたけど、内心ガッカリしてしまった。


“澪”って、呼んでくれるのかと思ったんだけどな……


そんな訳ないよね……


あたしは、廉を送り出してから支度を始めた。


家を出る時に綾に電話をして、今から行く事を告げた。


「綾?あたし、今出たから!」


「あたしもちょうど出るとこだったの!タクシー拾うから、すぐに着くと思う♪」


「うん、後でね!」


電話を切って、急いで会場に向かった。