店に入ってすぐに、廉が店員に声を掛けた。


「この前のドレスある?」


「はい、ご用意しております。あちらにどうぞ」


「何?」


廉を見ながら小首を傾げると、彼はあたしの背中を軽く押した。


「ほら」


「お客様、こちらへ」


あたしは、とりあえず店員に付いて行った。


「こちらを着て頂けますか?」


ドレスを渡され、試着室に案内された。


薄いピンク色のミニタイトのドレスは、着てみるとピッタリだった。


一緒に渡されたストールを羽織って、試着室から出た。


「うん、予想通りだな」


「ピッタリですね。よくお似合いですよ」


満足そうに頷く廉と、お決まりの台詞を吐いた店員。


そんな状況に、少しだけ照れてしまった。


「じゃあ、これで」


廉は納得したように笑って、会計を済ませた。