「水割り」


「あっ、うん……」


廉はあたしの質問には答えず、また一言だけで言った。


この人は、本当によくわからない。


あたしは、太一と楽しそうに話すヘルプの子を横目で見た。


軽そうでも気を遣わないで話せるなら、太一に付きたかった。


だけど、今はそんな事を考えても仕方ない。


あたしは廉にお酒を差し出し、笑顔で話し掛けた。


「廉は、どうしてカメラマンになろうと思ったの?」


「写真が好きだから……」


廉が、あたしの瞳を真っ直ぐ見て答えた。


「好きな事が仕事になるって、何かイイね♪」


「別にそうでもないよ」


ぶっきらぼうに答える廉を見ると、これ以上この話題に触れる事は出来なかった。


そのまま他愛のない話をして、結局二人は閉店まで店にいた。