家の前に着くと、深呼吸をしてからドアに鍵を差し込んだ。


「開いてる……」


珍しく開いたままだった事に驚きながらも、ゆっくりとドアを開ける。


「廉……?」


廉の靴はあるのに、返事が無い。


静まり返った部屋は、あたしを少しだけ不安にさせた。


「廉……?いないの……?」


リビングのドアをそっと開けると、廉がソファーで眠っていた。


彼は何があっても、絶対にベッドでしか眠らないのに…。


テーブルの上には、タバコの吸い殻で山盛りになった灰皿が置いてある。


あたしを心配してくれていたのかもしれない。


あたしが帰って来たらすぐに気が付くように、ソファーで眠ってたの……?


それが真実かどうかなんてわからないのに、勝手にそう思っていた。


「ごめんね……」


あたしは床に座って、眠っている廉を見つめた。