「黙ってて、ごめんね……。澪の意思でどうするか決めて欲しかったから……」


申し訳なさそうに眉を下げる綾に、あたしは満面の笑みを向けた。


「綾……ありがとう。その話を聞けて良かったよ!ちゃんと廉と仲直りするから」


あたしに隠しているのは、きっと辛かったと思う。


だけど…


綾はあたしの事を考えてくれていたからこそ、ずっと言わなかったんだ。


「うん……。ごめんね……」


小さく笑ってポツリと謝った彼女は、時計を気にしながらタクシーを拾った。


「あたしこそ、ずっと泊めて貰ってごめんね。でも、綾のお陰で元気出たよ♪」


「そっか……」


「うん!じゃあ、今日も頑張ってね」


あたしはそう言って、タクシーのドアを閉めた。


そして、タクシーが見えなくなるまで手を振った後、急いで家に向かった。