「よく見てるよね、それ。好きなんだね♪」


笑顔を見せたあたしに、綾も嬉しそうに笑った。


「うん♪この人ね、すっごく綺麗な写真撮るの。でもほとんど公の場に出て来ないから、どんな人か知らないんだよね……」


「へぇ……。何て言う人?」


楽しそうに話す綾に、写真集のページを捲りながら訊いた。


「シキって言うの。アルファベットで、“Shiki”って書くんだ!」


「変わった名前だね……」


綾の言葉に耳を傾けながら、更にページを捲っていく。


そこに写っているのは知らない風景ばかりだったけど、どれもすごく綺麗だった。


「綺麗な写真でしょ?」


「うん、すっごく……。きっと素敵な人なんだろうね♪」


「こんなに繊細で優しい写真を撮る人なんだもん。きっと素敵な人だよ!」


綾は大きく頷いて、満面に笑みを浮かべた。