「じゃあ、あたし行くから……。合鍵置いとくね。部屋は好きに使って」


綾が仕事に行っている間も、彼女の家にいさせて貰う事にした。


「うん、ありがとう。頑張ってね!」


あたしは出来るだけの笑顔と明るい声で、綾を見送った。


「うん、じゃあね!」


一人になった部屋の中で、急に寂しさが込み上げて来た。


鏡に映る自分の姿を見ると、体中に無数のキスマークが付けられている。


昨日は気付かなかったけど、手首にも赤い痣(アザ)が出来ていた。


あたしはそれを見つめながら、昨日の事を思い出していた。


廉は、自己満足の為だけにあたしを抱いた。


途中からはいつも通りだったけど、正直彼の事が恐くなった。


何かの儀式みたいな、行為。


あれが廉の愛情表現だと言われても、あたしには理解出来ない。