「ちょっ、綾っ!!ヤバイって!」


シャンプーの量が多いせいで、湯舟の中が泡だらけになっていく。


「なーに言ってんの!ちゃんと綺麗にしてあげるから♪」


綾は鼻歌を歌いながら、更にシャンプーを出した。


「キャーッ!!」


「澪の頭、雲みたいっ!!」


「もうっ!!」


あたしもシャンプーを手に取って、綾の髪をゴシゴシと洗った。


「澪っ!!ギブギブッ!!」


「ダーメ!」


抵抗する彼女に、どんどんシャンプーを付けていく。


湯舟と洗い場は泡塗(マミ)れで、バスルームは泡風呂よりも泡でいっぱいだった。


あたし達は泡だらけになった顔を見合わせて、大声で笑った。


「泡流すの大変だよっ!!」


「綾がやるからじゃん!」


いつの間にか、あたしの涙は止まっていた。