「何でそんな事知ってるんだよ?」


廉の低い声が、静かな部屋に響く。


「太一君から聞いたの……。元カノを探してる時に、あたしと出会ったんだよね?」


あたしは彼を見つめながら、涙混じりの声で言った。


「……だから?」


機嫌が悪い時の廉の声は、あたしを萎縮させる。


だけど、今日だけは引けない。


「あたしを澪って呼んで!」


あたしがハッキリとした口調で言うと、廉は黙り込んだ。


「呼べないなら、今すぐあたしを撮ってよ!どんな写真でもイイからっ!!」


こんな事、ただの嫉妬かもしれない。


せめて廉がどちらかを選んでくれたら、あたしは彼の傷を癒せるように頑張る。


だけど…


そうでないのなら、もう廉とは一緒にいたくない。


あたしはそんな気持ちを抱えながら、彼の答えを静かに待ち続けた。