「元々、廉は人も撮ってたんだ……。だけど……その子と別れてからは、風景しか撮らなくなった……」


「その子は……今……」


「廉は知らないけど、風俗で働いてるらしい……。この間、高校時代の友達から聞いたんだ」


そこまで聞くと、もう何も言えなかった。


苦しい……


息が上手く出来ない……


あたしは、また失敗したんだ……


「ごめん……」


「ううん……。あたしの方こそ、ごめんね……」


あたしは必死に笑顔を作って、申し訳なさそうに謝る太一を送り出した。


だけど…


今はもう仕事をする気にはなれなくて、店長に頭を下げて早退させて貰う事にした。


それから、あたしが早退する事を知って心配してくれた綾に、『気分が悪い』とだけ言って店を後にした。


そして大通りでタクシーを拾って、急いで家に帰った。