窓際のカウンター席で、俊が来るのを待った。



俊とは幼なじみだ。

幼稚園が同じだった。

わたしの母親と、俊の父親は高校の同級生らしく仲が良かった。

よく四人で遊んだ。

ある日幼稚園から家に帰ると、見知らぬ女の人と母親が口論していた。

その日から、何故か母親は俊と遊ぶことを一切禁じ、俊の父親にも会わなくなった。

ときを同じくして俊も再婚したばかりの後妻さんから「綾花ちゃんとは遊んでは駄目」といわれたらしい。



それでもわたし達はいつも一緒にいた。


好きだと告げることができないまま。


親友としていつも近くにいる。



長身で顔の小さな俊がファーストフード店に入ってくると、

店の空気が一瞬変わった。

客も店員も彼の姿を見ている。

「おい」

白い歯を覗かせて完璧な笑顔で俊はやってくると、

隣のスツールに腰をおろした。

「もらっていい?」

わたしが返事もしないうちに、コーラを手に取るとストローに口をつける。