どうせ家には誰もいないだろう。
私は黙って首を振った。
そういう事を心配してくれる人なら、怖いと思う気持ちも消える。
「…で、雨水ちゃん。
お前なんでリンチされたか分かるか?」
ケラケラ笑い転げていた京は真面目な顔をする。
そして、その口から出た質問は私が今一番聞きたいものだった。
「…海、と会ったことがあるから?」
深く考えても、それくらいしか思い付かない。
さっきより近くで煙草を吸う海は、何も言わなかった。
「さすが、頭の良い雨水ちゃんは回転が早ぇな。で、ここからは理論を破綻させるけど、つまり。そこにいる海と関わった奴は、系列の下の人間に色んな感情を…。」
「待って。」
私は京が一気に喋ろうとするのを遮り、声をかけた。