嵐は小さく深呼吸をすると、優しい眼差しであたしを見つめた。


「先に言うなよ……。樹里……」


自分の事で精一杯だったあたしは、その言葉が何を意味するのかをすぐに理解出来なかった。


嵐はそんなあたしを見ながらクスッと笑うと、あたしの手を握った。


「俺も樹里が好きだ……」


それは優しくて…


あたしを幸せにしてくれる、魔法の言葉。


「本当に……?」


「あぁ!」


嵐はそう言って立ち上がると、あたしをギュッと抱き締めた。


「嵐……。好き……」


「うん……。俺も……」


「ずっとずっと……嵐が好きだったよ……」


「うん、ありがとう……」


あたし達は冬の公園で、ずっとずっと抱き合っていた――。