職員室の扉を開けると、職員室にいた教師が全員一斉に沙羅の方を向いた。

そして、眉を潜めた。

かったるそうに、ガムを噛みながら校則違反の化粧と制服の着方を堂々として、増してや煙草の匂いをさせながら眉間に皺を寄せて立っている沙羅を見て、眉を潜めた。



「くれ」



この学校の教師とは、必要以上に口を利きたくないと沙羅は常日頃思っている。

話す言葉はいつも単語。



「加藤!!!」

「うるせぇよ、クソ石田」



詰め寄ってきた生徒指導の教師を睨み返しながら沙羅は二言目を放つ。



「お前ちょっと来い!!!」

「うるせぇっつっでんだろぉが??入室届くれ。教室行くから」



沙羅のその一言に堪忍袋の緒が切れたと言わんばかりに怒鳴ろうとした石田を制したのは、倫理の教師の増川だった。



「まぁ石田先生、教室へ行く気があるんだから…入室届、書きましょう」



促されて、石田は舌打ちをしたままその場に立ち尽くした。

増川が入室届を書いて、沙羅に渡した。