翌日、言っていた通りに増川は迎えにきた。

沙羅の自宅は、教師全員が知っている。

増川の車には、一学年下の如何にも真面目そうで地味な後輩が二人乗っていた。

最も沙羅はその二人の存在すら知らないのだが。



「あっ、先輩こんにちはぁ!!!」



後輩の内の一人が話しかけてきた。



「馴れ馴れしいんだょ。話しかけんな」



いつも通りのきつい言葉を一発目からぶつけると、二人は静かになった。

増川は笑って、その様を見ていた。

道中、沙羅は一言も話さなかった。

増川と後輩たちの話す声は絶えず聞こえていたけど、沙羅は窓の外を眺めて黙り込んでいただけだ。

後輩たちの内の一人、絵里と言う子は沙羅の中の"嫌いな子"のｽﾄﾗｲｸｿﾞｰﾝド真ん中。

背が低くて、見た目も地味なくせにうるさくて可愛くなくて、馴れ馴れしい。

おまけに沙羅たちのようなｱｳﾄﾛｰに異常な関心を持っている。



「先輩のﾁｰﾑって名前何て言うの!?」



しかも、ぃきなりタメ口。



「お前、口の聞き方教えてやろうか???うるさいって、話しかけんなって何回言わすんだょ。ﾁｰﾑの名前なんか、お前に教える義理もねぇわ」