得るもの…

その一言に妙な胸騒ぎを感じて、携帯を掴んだ。

どうする???

どうするよ???

心臓が凄まじい音を立てて喚いている。

まだ時間が時間だ。

学校へ電話すれば、増川もまだ居るだろう。

明日、和太鼓を聞きに行くと素直に伝えられたら何か変わるのか。

気付いていた。

もう、変わりたいと思っている自分に。

それがまかり通らないから、苛々している。

それが自分の暴走や、喧嘩に繋がる一番の理由なんだと。



『はい、桑藤女子高です』

「2年1組の加藤沙羅。倫理の増川に代わって」



気づいたときに、沙羅はもう電話をかけていた。

事務員は無言で電話を繋いだ。



『はい増川です』

「沙羅だけどさぁ」

『加藤か。どうした』

「明日、今日てめぇが言ってた太鼓の公演行く。場所と時間、教えろ」



気恥ずかしい感じがして、一息に喋った。