朝目が覚めたのは、アラームではない携帯の着信音で。



隣にいるはずの涙の温もりもなくて、不安になった私はすぐに携帯に出た。




そこで聞いた……雅臣さんからの涙が病院に運ばれた、と言う知らせ……。







『涙っ!』






電話で教えてもらった病院へすぐにタクシーで向かい、看護師さんに事情を話して早朝の病院に入れてもらい涙の病室へ向かった。




『波音ちゃん……!』





部屋へ入ると、涙を囲むようにしていた涙の両親と雅臣さん。





私の顔を見ると、涙のお母さんはまた涙を流し始めた。




私は、急いでベッドに駆け寄って涙を見る。





病院に運ばれたと言うからすっごく心配して。




心臓がバクバク言って手が痺れて自分がどうにかなりそうなくらいの不安に襲われていたのに。





涙は頭に包帯が巻かれ、顔や腕に傷があるくらいで命に別状はなさそうだった。




『大丈夫!?痛い?』




私の方に顔を向けて私の顔をじっと見ている涙に、聞く。




『……頭痛い。体も、あちこちが』



顔を歪めながら答える涙。




『仕方ないな。頭から落ちたらしいから。検査して命に別状は無いから安心しろって先生が』





私の横にいた雅臣さんが涙を見下ろしながら言う。



『……良かった…っ!』