会議、接待、企画会議、案提出、……。
仕事のことばっか。
「何か思い出すか?」
書かれた文字の羅列を指でなぞりながら読み込んでいれば、そんな俺の顔を見ながら聞いてくる兄貴。
「んー……分かんね」
「……そうか」
顔を上げれば、思い出せていないことを気にしていないのか背中を反らして伸びを始める。
そんな兄貴を一瞬見て、またノートへ。
怪我をした日……こうなってしまった日、の後。
ぽつぽつ、と前々から決まっていただろうスケジュールは書き込まれていたけれど、白い部分がだんだんと多くなっていき。
そのまま白紙の割合が増えてきたページを捲っていって……
手を、止めた。
……一際目立つように赤でマークしてある、ここ。
日付は……25日。
12月25日、クリスマス。
そこの空いてあるスペースに、唯一書かれていた言葉。
“19時待ち合わせ”
それを、指でなぞる。
誰と、や、どこで、は一切書かれていない。