「ほらよ」


「お、サンキュー」



パサ、と勢い良く投げら簡易机の上を滑ったノート。



それを机から落ちないよう反射的に押さえる。




「わざわざお前の会社まで取りに行ってやったんだからな」


「だからありがとうって」



ノートを開きながら言えば、「本当にそう思ってんのかよ」なんてボソリと呟きながら椅子に座る。


しょうがないじゃん。



レイコさんが今日はここに来る時間が無いって言うし


俺は今日どうしても仕事の資料が欲しかったから。




兄貴に頼んだ。



「マジかよー」なんてボヤきながらもちゃんと行ってくれた兄貴。



ついでに俺の机に置いてあった仕事のスケジュール帳も運んで貰った。




……初めて見るんだけど。



記憶はないけれど、少し前までは毎日使っていたんだろう。



かなり使い込んでいる形跡。




ページをめくっていけば、自分で一覧表を作って事細かに仕事の詳細が書き込まれてる。




本当にこの通りに動いていたのかは抜け落ちてる。