「っあんた…………」





「ふざけるな」













あたしが何か言おうとする前に、彼方の声が発せられた







ちひろは彼方に「どうしたの?」と問いかけた









「………ふざけんなよ」






「彼方ぁ…?どうしちゃったのぉ?」









彼方はちひろをひと睨みした後、あたしの腕を急に引っ張った










そしてクラス皆が見ているなか…………






――――チュッ………










軽くあたしにキスをした








しかも唇。




皆の前で、あの彼方が唇にキス…………。









あたしは久しぶりに顔が熱くなるのを感じた















彼方は口を開けているちひろに向き直って










「俺が好きなのは、由衣だ。」







「……………………」







「俺は由衣しか見つめない。由衣にしかドキドキしない。由衣だけが大好き。」






「……………………」







「勝手に変な嘘をつかないで。
…俺は、由衣とは常に真っ直ぐでいたいから
…………門脇、これ以上俺に関わるのは止めてくれないか?それに…由衣は世界一可愛い!」










そう彼方はキッパリと言い切った









彼方…………








クラスは「わぁっ…」と小さく騒ぎだす










あたしは彼方の発言で幸せに浸っていた…………



…………………のに!!









「あー!!分かったぁー!♪」







キモい声が響いた