「――と、言うわけでして―――」 長ったらしい校長先生の挨拶。 いくら入学式でも、あくびぐらい出る。 「――萌!萌ってば!」 隣に座った仲良しの紗季(さき)が あたしの制服を引っ張った。 「見て~!あの人、かっこよくない?」 小声であたしに耳打ちしながら 紗季は斜め前の男子を指差す。 「え~。こっからじゃ見えないし」 「まじかっこいいの!モロタイプ!」