煩い男たちを見送ったあたしは、ほっと息をついた

もう…ママ、どうして男たちはああも何もできないのよ!

パパなら、もっとできると思ったのに、全然何もできないんだよ

ほんと、困るんだけど

朝から、男二人がバタバタと家の中を走り回って…静かに朝を迎えた日なんてないんだから

ピーンポーンと鳴ると、がちゃっと玄関が開いた

「愛、用意できてるか?」

あたしは廊下に顔をひょこっと出すと玄関に立ってる彩樹に微笑んだ

「もうちょっと」

「今夜は本当にいいの?」

「だって、おばさん…夜勤なんでしょ?」

「ああ。別に俺、社会人だから一人でも」

「食事面の話だよ。一人じゃ、ロクなもの食べてないじゃん。それに今日はパパも飲み会だって言ってたし」

「飲み会? おじさんが飲み会だなんて珍しいなぁ」

「うーん、珍しいよネエ」

あたしはそう言いながら自分の学生鞄にお弁当を入れると、玄関に走った

彩樹に抱きつくと、唇を奪う

彩樹がぎゅっとあたしの腰に手をまわして、抱きしめてくれた

彩樹は大学には行かずに、陸上の選手になった

父親の血を色濃く引いているっておばさんがいってた

どんどんと無くなった父親の姿に似てくるから、見ていてたまにつらくなるって

おじさんがもう亡くなって20年近く経つのにね

すごく好きだったんだなあって感じるよ