「あー、あそこの中学生な」

そう言って向こうの歩道を歩いている女子中学生を指差す。


「あそこの十字路で、横から来た自転車とぶつかりそうになって怒鳴られる。」


「は!?」


「いいから見とけ。」




言われるまま見ていると、その女の子が十字路に差し掛かる。

と、向こうから自転車がすごいスピードで走って来た。


「危ない!」


キキーッ!



「危ないだろうが!気いつけろ!」

「ご、ごめんなさい。」



自転車は間一髪女の子をよけて止まった。心臓に悪ぃな、もう!

それにしても…
再びじいさんに視線をやると、どうだと言わんばかりににんまりしている。