「…」
「…」
落ち着け、老人相手にムキになっちゃいけない。お年寄りは大切に!
「じいちゃん、家どこなんだ?
俺、送ってくからさ。ほら、傘。」
また見上げてくるじいちゃん。
頼むからその目をやめてくれ。
哀れむような目をやめてください。
「はあ。」
じいちゃんは盛大に溜め息をついた。
「お前、信じとらんだろ。まあ、お前がそれでいいんなら仕方ないがのう。」
「なんだよ、怖ぇこと言うなよ。」
不吉なじいさんだな、おい。
と、じいさんが周りをキョロキョロしだした。そしてまたにやっと笑って言った。
「よし、信じさせてやろう。」