「ん?」


「えっと・・・」


 無視されると思っていたので、返事が返ってきたことに動揺し、言葉に詰まってしまった。すると、不意に顔が近くにあった。


「あれ〜? 見かけない顔だけど、何年生?」


(ヤバッ・・・)


「えっと・・・1年なんですけど、今日転入してきたんです」


(ってことにしておこう・・・)


 私は、出来る限りの笑顔で怪しまれないよう、自然な感じで言った。


「へぇー、そうなんだっ。あ、でオレに何か用?」


(ほっ、バレてなかった)


 一先ず安堵した私は、続けることにした。


「はっ、はい。実はお聞きしたいことがありまして・・・」


「うん☆ どーぞ、どーぞ」


「〝耀(よう)〟ってヒト・・・いますか?」


 私が聞けるのはそれだけだった。


 何しろ私は、名前と住んでいるところ以外、何も知らないのだ。


「えっ、耀って〝惣弥 耀(そうや よう)〟?」


(名字・・・惣弥って言うんだ・・・)


「えと・・・はい・・・」


 思わずハイとは言ってしまったが、本当のところは分からない。


(耀って名前、一人しかいないのかな・・・?)


「アイツか〜。いっつも休み時間、どっか消えるんだよな〜」


「そ、そうなんですか・・・?」


 私は思わず戸惑った。