~Iku Side~



 ただ、何の当てもなく、なんとなく電車に乗ってみた俺。


 そこでそいつに出会った。


 初めは、好奇心からと、少しの遊び心からだった。


 そう、さりげなくそいつの隣に座ってみた。


 割と年は近い方なんじゃないかって、自分で勝手に解釈してたけど、なんとまさかのタメだった。


 最初、そいつは俺の存在に気付いてなかったが、何秒か後に俺のことを横眼で見てきた。


 確かに、勝手に隣に、しかも全くの他人に…座られたら、誰だって良い気はしないだろう。


 だが、あまりのその態度に、俺はなんとなくイラついてしまい、思わず冷たく「何」なんて言い放ってしまった。


 でも、そいつは凄く馬鹿正直なヤツだった。