しかし、月日は経ち
神様の命が今
尽きようとしています。
永い永い途方もなかった人生を
いまやっと、終えることが出来るのです。
最後に、ぽつりぽつりと
神様は言葉を紡ぎます。
『あぁ、僕は孤独だった。
…ずっとずっと。
三人で過ごした幸せな日々は、
とても短く、
いまや僕しか覚えていないけれど、
…あの時だけは独りではないと思えた』
そして、
一筋の涙を流し神様が
目をとじかけた時、
どこからか、声が聞こえてきました。
忘れるはずのないこの声は、
アダムとイヴです。
『また、あなたと三人で
暮らすことが出来るのね。
私たちは
あなたに別れを告げて、
楽園を出てから
一日だってあなたを忘れたことはなかった。
幸せだったあの頃のように、
三人で暮らしましょう?』
悲しそうに涙を流していた神様は、
優しく微笑み、
嬉し涙を流してゆっくりとまぶたをとじました。
End