「……大した男だ」

「いや、先に君と彼らの立ち合いを見ていたからだよ。僕のほうが少し有利だったんだ。勝ったと思ったんだけど……まさか、あの一瞬でカウンターを狙ってくるとはね。僕も咄嗟(とっさ)に反応できなかった。
 これが実戦ならお互い命はなかったね」

「そうだな」

「真剣勝負であの判断を下すのは──『命を賭ける覚悟』がなければできないよ」

 涼やかな目から鋭い光を放つ。
 俺は騎士の証を、一振り空を斬らせてからゆっくり鞘に納めた。
 そして、向けられた視線を真っ直ぐに受け止めて返す。

「俺は騎士だ。それくらいの覚悟、あって当然だ」

「大した男だよ、君も。
 ねぇ? ベン、アルス!」

 唐突に話を振られ、目を見開いて押し黙る二人。
 やや重たい空気の中、

「……確かに、実力は本物のようだ」

 先に渋々と口を開いたのはベンだった。
 その言葉を受けて、アルスが苦悶の表情で吼える。