その日も私は、相変わらず矢島くんと下校中。


「このお店いいのたくさん売ってるんだよー」


「あ、この花可愛いね!」


「矢島くん矢島くん」

「あ、見てみてー!」

「昨日友達がさあー」


って、話してるのは私だけで。

矢島くんはただ、空を見ながら無言。


ん?

空?


「…矢島くん、なんで空見てるの?」


空を見る矢島くんなんて、珍しいからね。


「ん、あれ」


って無防備に指差した矢島くん。

その指の示す方には、飛行機雲が雲一つない空にポツリと浮かんでいた。


「…飛行機雲?が、どうしたの?」


「あれ好き」