「香矢さんの、お母さん。」


看護婦さんが二人、

私の前に走ってきた。

やっと・・・会える。


「お母さんだけ、行きましょうね。」


――そうして通された小さな小さな部屋。

沢山の医者がいて、

その真ん中にベッドがあって・・・

その中で香矢が笑っていると思っていた。

だけど実際は――・・・

小さな女の子が、寝ていた。

沢山のチューブが口からでていて、

点滴がされていて・・・


もちろん、それが香矢だなんて思っていない。

きっと、

別の人だろう・・・

だって、唇、切れてるんだよ?

それなのに、

あんなに管通されて、唇にテープ張られて・・・

かわいそうだよ・・・

香矢じゃない。

香矢じゃない。

違う。

違う・・・