――そういったときだった。 香矢の口がぷくぷくと動いたんです。 ほんのわずかだけだったけど、 私はそれを見逃さなかった。 「香矢・・・?」 握っていた手が、 すこしだけ、あたたかくなった。 「香矢、香矢・・・」 あったかい。 香矢の、手だ・・・ いつもの、可愛い可愛い手だ・・・ 香矢の顔を見た。 「香矢・・・・・」