いよいよ香矢を火葬場へ入れるとき、

私は、最後に香矢の顔を見た。

もう、抱きしめることも、髪の毛を結うことも、

香矢の笑顔をみることも、

できない・・・

私は、香矢の手をつかんだ。

おかしいよね?

氷より、冷たくなるんだよ?

どうして人は死んだら、こんなに冷たくなっちゃうの?

香矢の手のぬくもりを、

もう、

感じることはできないの・・・?

私は、香矢の口から脱脂綿を全て取り出した。


「ごめんね・・・苦しかったよね。」


そして、

香矢を抱き上げ、

きつく抱きしめた。


――これが、最後だ。

母親失格だけど、香矢も、結城も、

大事な大事な家族だもん。



「香矢・・・ごめんね。」