もし、香矢が“お母さん”っていったなら、

香矢はもしかしたら、

自分がもう死んじゃうって事、分かってたのかもしれない。

必死に痛いって伝えたかったのかも知れない。

最後に、お母さんに会いたいって、

叫んだのかもしれない・・・

香矢が、

苦しい思いして、痛い思いまでして・・・

それなのに

私は何にもしてない。

香矢の手をなでてただけで、

何もしてない・・・



私は強く、強く、

香矢を抱きしめた。