すぐに、会社から父が来た。


「あなた・・・」

「香矢・・・なのか?」


父は、病室で静かに寝ているような香矢に目を向けていた。

もう、機械や管は、ぜんぶはずしてもらった。

私は、泣きながら

静かにうなずいた。


「香矢っ・・・」


父も香矢にすがりつくようにして

泣いた。


――しばらくして、

私は香矢を家へつれてかえることにした。

車に香矢を乗せた時、

看護婦さんがなぜか、


「お母さん、この脱脂綿、もっていってください。」


そういい、沢山の脱脂綿を渡した。

なんで?

そんなの、何に使うの?

そう思って香矢を横に向かせた時だった。