「…佐々木凜。………?」

全然思い出せない。
自分が分からないなんて、

これは現実なんだろうか。


「…ちょっと待っててね。」

男の人は
真っ白い部屋から出ていった。





しばらくすると、

またドアが開いてさっきの男の人に続いて夫婦が入ってきた。
なんだか不安そうな瞳をしている、その夫婦。


…私、この人達のこと知ってる。


「…お父さん、お母さん」

勝手に口が動いてた。
目からは涙が流れ落ち、シーツに
次々と染みをつくっていく。

二人は涙を流す私の
そばに立った。


「…凜、」
二人は私を確かめるように

抱きしめてくれる。