私は、
佐久の泣いてる夢をみてから
なかなか寝付けなかった。

全てを思い出した私だけど、

このまま記憶を失くしたふりを続けるのか、

全てを思い出したことを伝えるのか。


迷ってる…

嫌われたくない。
はじめて私を愛してくれた人に。


目からは自然と涙が流れる。



すると、
廊下から足音が近づいて来た。


誰にも泣き顔を見られたくなくて、
とっさに狸寝入りをした。




シャラ

カーテンの開く音。


あ、佐久のにおいだ。

思わず飛び起きたくなった。
抱き着きたい。



でも、
佐久は何しに来たんだろう。


すると、
ポタっとなにかが落ちる音。
それと同時に佐久の声が聞こえてきた。



「…、凜?愛してる。
はやく俺を思い出してくれよ。
凜ちゃん。
…俺以外のやつと手なんか、
繋がないで。」