中庭を手を繋いで散歩する。
中庭には、パジャマ姿で元気に遊ぶ子供たちの
笑い声が響いていた。
木陰のベンチに腰をおろす。
いつも爽くんと来る場所だ。
穏やかな時間が流れる
この場所が私は気に入っている。
ベンチに座っても
爽くんとは手を繋いだまま。
たわいもない会話を続ける。
ふいに後ろから声をかけられた。
「…おや、デートですか?」
先生だった。
隣に座っている爽くんが
元気よくそうだよ♪と、答えた。
嬉しそうな爽くんの顔を見たら
否定もできなくて。
そんな様子を見て、
佐久の瞳が悲しげに揺れた事に
凜は気づかない。
悲しそうに笑う佐久に、
凜は気づかない…