★佐伯 龍之介
(Ryunosuke Saeki)
*向日葵の中学からの友達で梨優と付き合っている。
*身長180cm
*基本、テンション高めで軽そうに見えるが、実は一途。
*実は意外な事に頭も良い。
★鈴木 智也
(Tomoya Suzuki)
*向日葵の幼少時代からの幼なじみ。
*身長170cm(自称)
*向日葵の事が好きっぽいがちっとも気付かれていないちょっと可哀想な子。
*中学時代は、向日葵達と4人でつるんでいたが、1人だけ高校に落ちてしまい、将武高校という男子高に通っている。
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高校入学の朝、抱えるのは期待と不安。
新しい環境にこれからどんな毎日がまってるのかな……?
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我が家の朝は戦争だ。
「早く着替えなさーい!」
ドタドタドタバタ!
「待ちなさい!!」
「「やら~キャ~!」」
「やだじゃない!!保育園遅刻しちゃうでしょ!」
台所で朝食を作っていると、次女の愛理花が三歳の双子達を追いかけ回している。
「ふぁー…。るせーなー」
「あ、蓮輝!ちょっと!起きるの遅い!」
「るせーな!!」
「うるせーじゃないわよ!!楓と桜に服着せるの手伝ってよ!」
「命令すんな!」
ギャーギャーと二女と長男のいつもの言い合いに小さく溜め息をつく。
『愛理花!蓮輝!遅刻するよ!楓と桜も今日からチューリップ組さんになるんでしょ?』
「「チューリップさんなる~!」」
「…ヤバッ!こんな奴に構ってる場合じゃなかったわ!早く二人とも着替えて!」
「はぁ~!?こんな奴ってなんだよ!!」
『ほらほら!二人とも!喧嘩してる場合じゃないでしょ!』
これが朝倉家のいつもの朝。
静かで爽やかな朝なんて、物心ついた時から経験した事無い気がする…。
しっかりものの次女、中学2年生の、愛理花(えりか)。
口の悪い、昨日入学式を終えたばかりの中学1年生の長男、蓮輝(れんき)。
やんちゃ盛りの双子、三歳の次男、楓と三女の桜。
そして、今日から高校1年生の長女のあたし向日葵です。
そう、うちは上は15歳から下は3歳までの5人兄弟なんです。
今時きっと珍しいよね5人なんて。
毎朝こんなだから、多分かなりの近所迷惑だと思う…。
でも、ご近所なんか気にしてる余裕があたしには無いんです…。
父は海外に単身赴任中で年に数回しか帰ってこないし、母は看護師をしていて、三年前に双子を生んですぐに仕事に復帰したため、長女のあたしが家の中を取り仕切っている。
だから家の事で精一杯!
そんな事言うと愛理花に所帯染みてるっていわれちゃうんだけどね…。
『じゃあ楓と桜お願いね』
「OK!ほら、お姉ちゃんに行ってらっしゃいは?」
「ひまねぇたんいってらっしゃぁい!」
「らっしゃい!」
『行ってきます。良い子にしててね』
やっと全員が準備を終え、愛理花に双子を頼み、家を出た。
こんなあたしだけど、やっぱり高校生になるのは不安もあるけど楽しみ!!
お母さんが言ってたけど、なんだかんだ大人になっても高校生の時が1番思い出に残ってるんだって。
「三年間なんてあっという間なんだから、ちゃんと青春を楽しみなさいね?」
な~んて言ってたっけ…。
青春か~…。
どうなるんだろ?
なんて、期待と不安のドキドキを抱えながら、駅へと向かった。
『…遠いよ』
駅から学校へ向かいながら呟く。
あたしが今日から通う飛鳥高校は数年前に校舎を新しくしたため、割と綺麗な高校。
校則もかなり緩くて、髪染めてても良いしピアスもなんでもOK。
だから結構、人気があってうちの中学から受けた子も多かった。
ただ一つ難点がある…。
『何でこんな坂が多いのぉ~!』
そう…高台に学校があるから行きは上り坂ばっかり。
駅からもかなり歩くっていう、立地条件の悪さ…。
『今何時だろ…わっ!もうこんな時間!?』
携帯のディスプレイを確認して焦る。
朝のドタバタで家を出るのが遅くなったから、かなりギリギリの時間だった。
『と、とりあえず急がなきゃ!』
そう思い走り出す。
『キャッ!』
「おわっ!」
走り始めたばっかの時に曲がり角から急に人が出てきたため、ぶつかりはしなかったものの、驚いた拍子にバランスを崩した。
倒れる!そう思い、思わず目を強く瞑った…。
――パシッ!
『へ?』
倒れる寸前、ぶつかりそうになった人が手を捕んで引っ張ってくれたため寸前で倒れずに済んだ。
「悪い!大丈夫か!?」
『あ、大丈夫……』
顔を上げると同じ学校の制服を着た男の子だった。
明るめの茶色で、ちょっと癖のある柔らかそうな髪に、綺麗な二重の大きな目。
カッコいいというか、ちょっと可愛いい感じもする。
モテるんだろうな~。
なんてぼーっと考えていると…
「…いっ!おい!本当に大丈夫!?」