『別……』
帰って来たのはそんな言葉で、思わず……
「じゃあ何で、あいつ…あの幼なじみが俺が向日葵ちゃん泣かしたみたいな事言ってたの?」
向日葵ちゃんの言葉を遮るように言ってしまった。
出来る事ならあいつの話しなんてだしたく無かった。
だけど…向日葵ちゃんが何も言ってくれない以上、俺はそう聞く事しか出来なかったんだ……。
『あ……』
俯いたままそれっきり、何も言わない向日葵ちゃん。
「ねぇ、俺なんか泣かすような事した?」
落ち着け……
そう自分に言い聞かせ、再び聞く。
でも、俺がそう言った瞬間……
『別にって言ってるでしょ!こんな所居ないで、早く彼女の所行きなよ!!』
今日初めてまともに俺を見た向日葵ちゃんが泣きながらそ言う。
こんな向日葵ちゃん、初めて見た……。
っていうか彼女って……?
「え…?俺、彼女なんて居ないけど」
何の事だ?
『嘘言わないで!あたし見たんだから…日曜日にようこ先生と一緒に居る所……』
嘘じゃないし…。
信じないとでも言うような口調の向日葵ちゃん。
「ようこ先生…?日曜日……あぁ!それ彼女じゃないよ!」
『え……?』
「向日葵ちゃん…なんか勘違いしてない?」
分かった!日曜日って言ったら……
「あれ、姉貴だよ」
~向日葵side~
「あれ、姉貴だよ」
『え………』
太陽君の言葉に唖然とする。
お姉さん?だって……
『先生と名字違うよね…?』
ようこ先生は高橋、太陽君はあたしと同じ朝倉…どういう事……?
「あぁ、姉貴、結婚してるんだよ」
あ~なるほど、結婚ね~……って!
『嘘!ようこ先生って結婚してるの!?』
だってまだ若くない!?
「本当だよ。2、3年位前かな~?」
2、3年前っていったら双子が保育園入るまえ?
そんなの知らないよぉ~~!
じゃあ……あたしの勘違い!?
「俺達、結構似てるって言われるんだけどな~。名前も似てるし」
名前?ようこ先生…陽子先生!?
あぁ~あたし本当にバカ…雰囲気似てるの当たり前だよ……。
穴があったら入りたい…///
「で?姉貴がどうしたって?」
――ギクッ!
そこは触れないで欲しい……。
『えと…それは…あたしの勘違いだったっていうか……』
真っ赤になってるであろう顔を両手で抑え俯く。
「勘違い…?」
コクコクと顔を抑えたまま頷くあたし。
もうその話し忘れて下さい!
「ねぇ…もしかして、泣いてたのって俺と姉貴が付き合ってると思ったから…?」
『……っ///』
そうだけど…そんな事言えるわけないよぉ~~(泣)
俯いたまま黙ってしまう。
「向日葵ちゃん…顔上げて?」
無理!
絶対、顔真っ赤だもん……。
フルフルと顔を横に振る。
「下ばっかり向いてると鼻水垂れるよ?」
『嘘…!』
あたし鼻水垂れてた!?
思わず顔を上げる。
「嘘~♪…やっと顔上げてくれた」
――ドキッ
イタズラっぽく、微笑む太陽君に心臓が音をたてる。
「ねぇ…俺、期待して良い?」
『え……?』
さっきの表情から一転して真剣な顔になる太陽君。
期待……?
「俺…向日葵ちゃんの事が好きだよ」
『……え!』
好き…?嘘……!?
「嘘じゃないからね?向日葵ちゃんは…?」
あたしの心を読んだかのように言う太陽君。
え…言うの!?
『え…と……』
目が泳いでるのが自分でも分かる……。
「フッ…。そんなに固まんなくても」
笑みをもらす太陽君に、また心臓が大きく音をたてる。
う~…やっぱり言わないとだよね……。