梨「あ~もう!どいつもこいつも、だのだのでもだの鬱陶しいわね!男ならはっきりしなさいよ!」
里中が大声を出した事で周りの客がチラチラと見てくる。
だけど、里中がこんな大声出すなんて、そちらの方にびっくりしてしまった。
龍「そうだよ。ちゃんと言わないと伝わらないよ?俺みたいに♪ね?梨優」
梨「あんたは言い過ぎ」
2人のコントのようなやり取り。
だけど……
「なぁ…向日葵ちゃん家ってここから近い?」
「ん?あぁ、15分位だと思うけど」
「場所教えて!」
里中が怒鳴りながら言った事と龍之介が冗談めかしてだけど一瞬真剣な表情をして言った言葉に頭を殴られた気がした。
何も伝える前から諦めちゃ駄目だと思ったんだ……。
「はい、これ」
龍之介が紙ナプキンに書いてくれた地図を受け取り、席を立つ。
「サンキュ。…里中ありがとな」
「ふん…。振られても文句言うんじゃないわよ」
そんな里中の言葉に一瞬苦笑すると、出口へと向かった。
――太陽が出て行った後――
「ほとんど食べないで行っちゃったねぇ~♪」
「それより、あいつのせいでアイス溶けちゃったじゃない!もう!」
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入学式の朝出会ったのが始まり。
それから友達になって
少しずつあなたの事を知って
時間をかけてあなたに惹かれてる事に気付いた。
その時間は恋の花を咲かせるまでの成長期間。
ねぇ…これからも2人で大きな花を咲かせ続けようね?
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~向日葵side~
「37℃5分…朝よりは下がったわね」
『うん。でも、お母さん、わざわざお昼休みに戻って来なくても良かったのに』
仕事の合間のお昼休みにわざわざ戻って来てくれたお母さんに言う。
「なぁに言ってんの!また、昨日みたいに何も食べなかったら大変だもの!」
『う゛…!それは…』
そう…昨日、りっちゃんが帰った後、熱で働かない頭で色々考えてて結局、何も食べず、薬も飲まず、だった為更に熱が上がってしまい今日に至るという……。
「まぁ、本当はお母さんが休めれば良かったんだけどね…」
困ったように言うお母さん。
『大丈夫だよ!もうご飯も食べたし、薬も飲んだんだから。それよりお母さん戻んなくて大丈夫?』
お母さんにこれ以上心配させないように明るく言う。
「あら、やだ!もうこんな時間!?じゃあお母さん戻るから!お迎えは愛理花に頼んであるからゆっくり寝るのよ」
『うん、分かった。いってらっしゃ~い』
――パタン
『ふぅ…』
ドアが閉まったのを確認すると、小さくため息を吐く。
『ん…なんか眠くなってきたかも…』
昨日、うなされてほとんど寝れなかったしね……。
薬が効いてきたのもあって、頭がぼんやりする。
あ…寝れそう…。
――ピンポーン
後、少しで夢の世界という所でチャイムにより、起こされる。
『ん゛~もぉ~。誰だろ?お母さん忘れ物でもしたのかな?』
睡眠を邪魔されて、若干不機嫌になる。
――ピンポーン
『しつこいな~…』
再び鳴るチャイムに急かされ、重い体をベッドから起こし、玄関に向かう。
『は~い!どなたですか?』
玄関まで行き一応開けずに聞く。
ところが、玄関の向こうからは何の返答も無い。
いたずら?
もぉ~やっと寝れると思ったのにピンポンダッシュとか止めてよね!
そう思い、部屋に戻ろうとする。
その時……
「向日葵ちゃん…?」