彼女が愛した温もり



ご飯を食べず

ただベッドで目を閉じる

コーキは
そんな私に何も言わず

ただ見守ってくれた


だから知らなかった

私が眠ってる間にも

コーキが悩んでいた事




私の苦しみが

コーキにまで負担をかけていた事に気付けなかった


私は
自分を恨む事で嫌う事で
なんとか生きていた






鋭いハズの私が

気づけなかった


大切なキモチ



そして
別れは近づいてくる‥






『キライ』

『キライ』

『キライ』


まるで呪文のように私は言う


言葉にする事で

自分を否定できた




全てはママの思惑通り進んでいた‥



でも、私は気づけなかった


恨む事しか考えず
生きていたから





何があった?
そんな言葉を言いたそうな表情でコーキが私を見る


でも絶対
何があった?なんて聞かない


聞かれたって言わないけれど

そんな顔で見られるなら聞いてほしい

そう思う身勝手な自分がいた




私はコーキと違って弱い


コーキは彼女と別れても仕事をちゃんと続けた

逃げなかった


なのに私は

居場所がないと気づいてから
全てから逃げた

勉強もパパと唯さんからもママからも



ご飯を食べず

ただ生きているだけの私を
コーキは怒らない


それどころか
出会った頃よりも優しくなった気がする


それにすら
同情と勘違いし苛立っていた



日に日に衰弱していく私に


♪♪♪~

携帯が鳴る

この着信音は電話


ディスプレイには杏里

最近は全く会う事も無かったのに


『もしもし‥』