学校に現れた“ソウリュウ”のハズの人物はムーさんの後輩らしく、青黒いツナギを着ていて『お久しぶりです』と頭を下げた。

マジで?

そのツナギはいつか見た真っ赤なツナギと同様油ジミだらけで。

あ、ソウリュウの知り合いなのかな?

ソウリュウが忙しくて来れないから?

『おお、ソウリュウ。仕事中にすまないな』とムーさんがあっけなく答え、私は目を見開いた。

……コイツがソウリュウ。

ソウリュウといえばあの“ソウリュウ”。

そのツナギの胸に小さく書かれた文字。

“黒田板金”

当然私の思考は一時停止。

『大丈夫か?怪我ないか?』のおじさんの質問に『怪我?してねぇよ。だって江川は殴った方だしよ』とムーさんが答えて。

『さすがマユミの娘だな』と黒田のおじさんとムーさんが苦笑いをした。

そんな場面をただテレビを見るような感覚で眺めていた。

そして家までおじさんに送って貰って……。

かけちゃったんだなぁ、携帯。アッキーに。

なんでかと訊かれたら、自分でも分かんないけど。