「……お前のせーでナンパ失敗したじゃねぇかよ」

「うぉぉ!?」

焦点を携帯の画面からその背景に移すと、そこには月明かりを浴びた真っ赤。

「どんだけ必死でメールうってんだよ、お前。ババァか!」

「ババァじゃねぇよ」

けどマジ、死ぬかと思った。

そのくらい何も耳に入ってなかった私。

不機嫌そうなアッキーが窓から顔を覗かせていた。

……てか寒ッ。

さすがに夜は扇風機もいらないや。

私は起き上がると扇風機に足を伸ばした。

「手でやれや」

「うるさいよ、アッキー。で、何かあったの?」

「……お前が変な電話してきたんだろうが!」

アッキーがサンダルを手に、ベッドに降り立つ。

「あ?電話?……ああ!」

そうだった。

そうだったんだ。

“ソウリュウ”にお迎えに来てもらい、小言を頂いてからスクーターに二人乗りして帰って来た私はテンパってたに違いない。