扇風機の“弱”のボタンを足で押し、窓を全開にしてベッドに体を投げ出す。

「…………」

少し日に焼けた水色のカーテンがはためく。

……今日も星がすごい。

ベッドから藍色の空を望めば、気の早い小さな星達がキラキラ。

もうすぐ藍色は深い濃紺になる。

浦ヶ崎の夜空は深くて、静寂に耳が痛くなる程だ。

このままずっと夜ならばいいのに、と思ってしまう私を今日だけは許してあげてもいいと思う。

このままずっとこのまま――

だけど実際はマナーモードにしている携帯がポケットの中で震えては切れ、切れては震え。

繰り返される振動。

きっと下らないメールだ。

分かってるんだもん。

頭に思い浮かぶのは前の学校の子達。

ユウコにトモコにアキにタモツにタイガにカズマに……。

あげればキリがない程の名前と顔が頭に浮かぶ。