『何だよ~、何も壊してねぇじゃん。降ろせよッ!』とボブ。

その足元の割れたプラスチック片は十数分前まではバスの座席の一部だったんだぜぃ?

『そうだよ、あたしらなんもしてねぇし』とクルクル。

どの口が言う?

『……んもォ。超とばっちりじゃん?ねぇ?』とロン。

ならばもっと必死で止めろ。

ん?

しかし……

なぜロンは私を見ているのだろう。

……え?

うわッ!

──まさか?

「その4人、降りるんじゃね~ぞ」

よよ、4人?

振り返ると柄の悪そうなおっさんがニッと笑っていた。

……3人の間違いじゃん?

「ち、ちちちちが~う!!私、違うッて!」

「諦めなよぉ。あのおっさん絶対に折れないよぉ。ちぇ~ッだよねぇ」

慌てる私にやっぱりロンはのんびりと諭す。

……くッ、くそぉ!

他の生徒を降ろしたバスはゆっくりロータリーを回る。

軽く目眩を起こした私は灰色のシートに倒れこんだ。