バス停までアッキーが追っかけてきたらどうしようと思ったけど、全然そんな事はなくて、私は安堵のため息をついてから列に並んだ。

しばらくして乗り込んだスクールバスは3年の派手な女子3人が一番後ろの席を陣取っている。

ああ、視線が痛い。

『アイツじゃん』
『ああ、高藤の?』
『違う違う、赤い髪の方』
『黒田だろ?アイツの……』

……降りたい。

でもこれってスクールバスなわけで、駅までノンストップ。

何も起こりませんように。

今日はイライラしてるから、何も起こりませんように。

私は心の中で神頼み。

神様、仏様、ご先祖様──


って頼んだのによぉ!!

『男じゃね?』
『え?マジ?ああ、じゃ黒田は』
『真っ赤なゲイかぁ』

黙れ、お前ら。


キリスト様、マリア様、マユミ様──


この拳をお納めくださいませ。


アーメン──