『バーカ』って返事を待っているアッキー。

私の事なんて好きでもないのにそんな事を言うアッキー。

だから今は言ってやらない。

なんかムカつくから言ってやらない。

「しっかりナンパして彼女作って来れば?ま、出来ればだけどね」

「あ゛?ああ゛?」

……恐ッ!

やっぱ恐ッ!

なにその般若みたいな顔……。

ちょっと膝がカクカク震えちゃったりしてんだけど。

でももう引けるかッ。

自分が悪いくせにこれだよ。

いつでも『あ゛?』って言えば相手がひるむと思ったら大間違いなんだよ!!

「つつ、ついでに暴走もソイツに止めてもらえッ!!じゃ、私帰るッ!」

私は空っぽの鞄を掴むと教室を飛び出した。

ドアの外で中山とすれ違う。

「タッキーィ、ちゃんと黒田無傷で返すからね~」

背中にかかる声にそれ以上の大声で返した。

「いらねぇ!!一生いらねぇ!」